特集トピックス
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作成日:2017/01/04
「緑の工場」(グリーンファーム ファクトリー)



〜 日本の地域農業を支える「強い農業者」の育成 〜


そのビルに入ると、黄金色の稲穂がさやさやと揺れ、畔道の向こうに白いピアノが置かれ、天井からは沖縄島かぼちゃ等、たくさんの野菜がたわわに実っていた。

東京・大手町のオフィスビルにある「パソナアーバンファーム」。日本一を誇る人材派遣会社・東京本部ビル1階の風景である。
地下鉄三越前駅を出て、そのビルはところどころバラの花のある、一面、グリーンの植物に覆われた9階建てのビルであった。
「社会の問題点を解決する」を社是とするパソナ。8,600名の社員を擁するパソナが、日本の地域農業を支える「強い農業者」を育成し、農業定着支援を目的とした「パソナ農援隊」を立ち上げた。
自社オフィス農園から農業技術のプロとしての人材を育成し、その人材を派遣し、定着すべく支援をしていくのである。さらに、それを世界に広げていこうとする革新的、かつ壮大なプロジェクトである。
そのプロジェクトの一環として、自社ビル全体を「アーバンファーム」と位置づけ、都会でできる農業の可能性を提案し、情報発信をしている。
案内する農援隊スタッフの先には、稲穂の周りを囲む通路にイスとテーブルが数脚あり、パソコンで仕事をする数人の女性と男性の姿。なんと贅沢な環境と思う。
さらに2階に行くと、商談している数人の男性。天井からもたくさんの植物が下がっている。周り壁一面にはツタ植物。また、レタス、バジル、クレソンなど、見事なばかりの多種多様な植物群がラックに並んでいた。目の前にある椅子の下の引き出しを開けると、そこにはカイワレ大根の新芽が育てられていた。
合計80種類を超える果樹、野菜。まさにオフィスビルのグリーンファームが出現していた。

ここにもあった オフィスグリーンファーム 例1


丸の内オフィスビルのとある一角。
昼のレストランに入ると、店中央に大きなガラスの植物ショーケース。天井までの高さである。レタス・サラダ菜・サンチュ・フリルアイス・リーフレタスなどの葉物類、ハーブ類。トマトなどの実野菜。
ショーケースを囲むようにカウンター席があり、ランチに来た女性が次々とオーダーをする。女性スタッフがショーケースを開け、手際よく野菜を摘んでいく。細長いバンズの間に収穫したばかりの野菜やトマト・ハムなどを挟んでいく。そう広くはない店内は、男性2名の他は、女性客で満席であった。

文房具店も オフィスグリーンファーム 例2


ここは、世界に名高い文房具店のビル、銀座「伊東屋」である。中国を始め日本を除くアジア圏には、文房具専門のビルは無いという。店内は、そうかと思しき客で溢れ、中国語専門のカウンターまで用意されていた。12階建てのビルには、あらゆる文房具が揃えられている。その種類の多さは圧巻。女性にはたまらない魅力である。
その11階に上がると、エレベーターホールの前に大きな「野菜ケース群」がある。
12階のおしゃれなレストランのメニューには、野菜中心のアラカルトがずらりと並んでいる。早速に野菜サラダを注文。目の前に現れたのは、バレーボールほどもある大きなボウルに盛り付けられた野菜。11階の野菜工場で採れたばかりの野菜である。隣のテーブルを見ると、3人連れの女性たちが一つのボウルから手際よく、小皿に取り分けている。都会の真ん中で、新鮮な野菜を摘んで食べる。広い畑を吹く青くさい風が一瞬、吹き渡る新鮮さである。

マンション オフィスグリーンファーム 例3


世田谷のとあるマンション。広いエントランスロビーには、野菜畑が広がっていた。
入居者のための野菜工場である。自分で野菜を摘む。これは他社との大きな差別化だろう。

企業参入の背景

農業の就業人口は、この15年で4割減少。平均年齢は66歳。このままでは地域農業は衰退していく。
これからの就農農業形態は、生産から直売、加工販売、農産物の商品化、レストラン・マルシェ・仲卸・直売所・高級化・高機能野菜、サプリメントとしての効果、加工品などを一貫して行い、付加価値を付けていく6次産業である。6次産業化に対しこれを推進する政府の政策は手厚い。

現在、野菜工場は全国50か所にある。(平成21年11月農林水産省調べ)
その内訳は、
◆「完全人工型」32%(閉鎖環境で太陽光を使わずに内部統制をコントロールする)
 ◆「太陽光・人工光 併用型」31%(温室などの半閉鎖環境で、太陽光の利用を基本として、雨天・ 曇天時の補光や夏季の高温抑制技術などにより、周年計画生産を行う)
◆その他37%
この中には、地域の食を支えるという目的・理念で、障がい者の雇用確保をしている植物工場も散見できる。

今後見えてくる課題

@栽培技術(農業の視点)プロ化
A生産管理手法の未確定(工業の視点)を持つ
B生産能力に見合った販売先の未開拓(商業の視点)を持つ
C経営の視点・人事労務・収支計算・イニシャルコスト・ランニングコスト・回収の条件等・
利益を上げる仕組み

今後の展望を考えたときに、課題も多い。しかし、こういった企業の取り組みにより、農業生産法人数は着実に増えており、農業生産法人を就職先とする若者も増えている。強い農業者を育成し、経営感覚を持った農業者の持続発信的農業が活性化していくそのための定着支援者の派遣という革新的プログラムの成功の日は近いのではないか。
午後3時。1階の白いピアノから、優しいメロディーが流れてきた。植物たちも聞いているのだろうか。

 グループ業務内容
栃木県足利市本城2-1901-8
TEL:0284-41-1365(代)
FAX:0284-41-1340

 
 
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