【令和3年度税制改正特集号】Ⅰ.法人税関連の改正項目②
2021/01/19
中小企業の所得拡大促進税制の延長
現行
1. 中小企業者が平成30年4月1日から、令和3年3月31日までに開始する事業年度において、次の要件を満たす場合には、「給与総額の増加額×15%」の税額控除(法人税の20%限度)ができる。
- 「給与総額」が前年度以上
- 「継続雇用者への給与支給額」が前年度比で1.5%以上の増加
2. 上記1に加えて、次の要件も満たす場合には「給与総額の増加額×25%」の税額控除(法人税の20%限度)ができる。
- 「継続雇用者への給与支給額」が前年度比で2.5%以上の増加
- 次のいずれかの要件を満たすこと
・教育訓練費の額が前年度比で10%以上の増加
・経営力向上計画の認定を受けており、経営力向上が確実に行われたものとして証明がされたこと(所得税についても同様)
改正の内容
1. 適用要件について次の簡素化を行った上、適用期限を2 年延長する(所得税についても同様)。
適用要件...「給与総額」が前年度比で1.5%以上の増加
※継続雇用者での比較は行わず簡素化
税額控除額は、引き続き「給与総額の増加額×15%」(法人税の20%を限度)とする。2. 「25%税額控除=上乗せ措置」が適用となる。要件も、同様に「給与総額」が前年度比で2.5%以上の増加とする。
※継続雇用者での比較は行わず簡素化
3. 「給与総額」からは、「給与に充てるための助成金などは控除する」とされているが、その範囲を明確化するとともに、次の見直しを行う。
・要件の判定においては、雇用調整助成金などを控除しないこととする。
・税額控除率を乗じる給与総額の増加額からは、雇用調整助成金などを控除して計算した金額を上限とする。
M&A促進税制【新設】
全法人版
買収対象会社の株主が、買収親会社の自社株式を対価とするM&Aにより、買収対象会社株式を譲渡し、当該買収親会社の株式の交付を受けた場合には、その譲渡した株式の譲渡損益の計上を繰り延べる。
また、買収親会社株式以外の資産の交付(金銭等)も行う混合対価交付をした場合にも、当該株式の交付が80%以上であれば、その対応する部分の譲渡損益の計上を繰り延べる。
中小企業版
適用要件
一定の中小企業者において、次の要件に該当するM&Aにより株式を取得した場合
- 中小企業等経営強化法の改正法の施行日から令和 6年3月31日までの間に、「経営資源集約化措置」が記載された「経営力向上計画」の認定を受ける。
- 経営力向上計画に従って、他の法人の株式等の取得(購入によるものに限り、かつ10億円を超える場合を除く)をする。
- 取得をした事業年度終了の日まで株式を引き続き有している。
内容
その株式の価格低落のリスクに備えるため、その株式の取得価額の70%以下の金額について、準備金(...中小企業事業再編投資損失準備金)の積み立てとして、その事業年度において、損金算入できることとする。
ただし、この準備金は、次の場合には取り崩しをして益金に組み入れる。
- その積み立てた事業年度から5年経過以降、準備金残高の5年均等額の取り崩し
- 株式の全部又は一部の譲渡をした場合には、その金額に対応する準備金相当額