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相続した土地を国が引き取ってくれる! ~所有者不明土地の法改正の様々な影響~

令和3年4月28日に「民法等の改正法」と「相続土地の国庫帰属法(略称)」という法律が公布されました。(実際の施行は2~5年後までの日)

両方の法律とも、「所有者不明土地」への対処としての法律なのですが、その中には、「相続した土地を国に帰属させるための制度の創設」や「長期間経過の遺産分割への対処」など、新しい制度の創設や改正があります。

まず今回の法律の背景ですが、日本では現在約22%の土地が、「所有者が不明の土地...登記簿を見ても所有者が直ちにわからない土地や所有者がわかっても住所の記載が古く連絡がつかない土地」です。

所有者がわからない、又は連絡がつかないと、公共事業や民間取引に多くの影響があり、問題を抱えることとなり、かつ高齢化社会の進展等により、今後更に増加する恐れが指摘されていました。今回はこの「所有者不明土地」の防止や、対処の法律の制定や改正なのですが、実際は多くの場面に影響が出たりなどが考えられます。内容は主に次の3点です。

1. 相続した土地を国に手放せる制度(相続土地の国庫帰属法)の創設

利用ニーズの低い土地を望まず相続した場合に、その負担感から管理がされない、又は手放したいと考える人が増えていることを鑑みて、相続で取得した土地を国に帰属させることができる次のような制度が創設されます。

  1. 相続等で取得した土地について、国庫に帰属させたい旨を申請する。(共有者がいれば、全員にて)
  2. 法務局が要件を審査する。主な要件としては、「通常の管理処分に当たり過分の費用又は労力を要する土地に該当しないこと」。これには、例えば、建物や一定の工作物等のある土地、土壌汚染や埋設物がある土地、崖がある土地、権利関係に争いのある土地、担保等が設定されている土地、通路など他人によって使用される土地などが挙げられ、これらは対象外となる。
  3. 審査手数料の他、標準的な土地管理費相当の10年分の負担金の徴収がある。
    参考:現状の国有地の標準的な10年分の管理費用は、粗放的な管理で足りる原野は約20万円、市街地の宅地(200㎡)は約80万円。)

2. 土地利用の円滑化への民法等の改正

(1)相続制度の見直し...長期間経過後の遺産分割について

遺産分割がなされないままの状態を防ぎ、未分割の解消を目的として、相続開始より10年を経過した時は、個別案件ごとに異なる具体的な相続分による分割の利益を消滅させて、画一的な法定相続分(妻が2分の1、残りを子が等分でなど)にて、遺産分割を行ってしまう仕組みが創設されます。

(2)新たな管理制度の創設

  1. 個々の所有者不明土地・建物ごとの管理の効率化・合理化のために、裁判所が管理命令を発し、管理人を選任し、売却も可能とされます。
  2. 管理せず放置している土地・建物について、他人の権利侵害の恐れがある場合に、管理人の選任ができることとされます。

(3)不明共有者に対しての対処

共有者が他の共有者の所在を知ることができないなどの場合には、裁判所は、不明共有者以外の残りの共有者の同意で、共有物の変更・管理ができる制度を創設されます。

また、裁判所のもと、不明共有者の持分相当の金銭供託により、その不明共有者の持分を取得して、共有関係の解消ができる制度も創設されます。

3. 不動産登記の義務化

不動産を取得した相続人は、その取得を知った日から3 年以内に不動産の相続登記の義務が生じ、正当の理由がない場合には、過料の罰則があります。

また、所有者が住所を変更した場合には、住所等の変更の日から2 年以内に住所の変更登記も義務化され、これも、正当の理由がない場合には、過料の罰則があります。

上記の制度創設や改正は「相続のしかた」や「相続税」にも今後は影響してきます。また、これらの改正の具体的な施行期日は今後発表されますが、原則的に2 年以内とされていて、相続登記の義務化は3 年以内、住所変更義務化は5 年以内とされています。

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