適正な労働時間管理に必要な措置とポイント
2024/06/04
「働き方改革」にともなう法改正の影響や、2024年4月より施行された労働時間上限規制の猶予期間終了で、労働時間の管理を見直す企業が増えています。労働時間管理が適正にされていない場合は、従業員の賃金計算に影響するだけでなく健康障害につながる恐れもあるため、十分注意が必要です。
1.すべての企業で必要な労働時間管理
労働時間管理は、働き方改革推進の一環として、原則従業員を雇うすべての企業に義務付けられています。2017年1月に厚生労働省が策定したガイドラインより、管理監督者とみなし労働時間制の適用者を含むすべての従業員の労働時間を客観的に把握し、管理することが義務づけられました。役職や雇用形態などに関係なく、全従業員の労働時間の把握が求められています。
2.労時間と勤務時間の違い
労働時間と似た言葉として「勤務時間」がありますが、両者には「休憩時間」の取扱いついて明確な違いがあります。
「勤務時間」とは、始業から終業までの「休憩時間」を含めた時間をいいます。
「労働時間」とは、勤務時間から休憩時間を差し引いた時間をいいます。
(例)始業時刻9時 終業時刻18時 途中休憩1時間
勤務時間 → 9時間
労働時間 → 勤務時間(9時間)- 休憩1時間 = 8時間
3.ガイドラインが定める適正な労働時間管理
厚生労働省が定める適正な労働時間管理を実現するために、6つのポイントがあります。
① 始業時刻と終業時刻の確認・記録を徹底する(タイムカードやICカード、パソコン
の使用時間などの客観的ツールで労働時間を管理する必要があります)
② 自己申告制で対応する場合は適切な措置を設ける(従業員の自己申告によって始業時
刻や終業時刻を管理することは、原則認められていません)
③ 賃金台帳の必要事項を適正に記入する(従業員ごとに労働日数や労働時間、休日・時
間外・深夜労働時間などを正しく記入しなければなりません)
④ 労働時間管理に関連する書類を保管する(使用者は、労働者名簿や賃金台帳、雇い入
れ、解雇、災害補償、賃金そのほか労働関係に関する重要な書類を5年間保存しなけ
ればなりません)
⑤ 労働時間管理の責任者が担う職務を把握する(管理するだけでなく問題点を把握し、
解消することが求められています)
⑥ 必要に応じて労使協議組織を活用する
従業員を雇用する企業にとって、労働時間管理は義務です。企業の規模や従業員の雇用形態に関係なく、労働時間の客観的な把握と管理は必要です。多様な働き方や法律の改正に対応するためにも、また生産性の向上を目指すためにも、勤怠管理の仕組みを見直すことは重要な事項となっています。 |