社会保険適用拡大の概要とポイント【2024 年10 月施行】
2024/08/26
2022 年10 月に実施された年金制度にまつわる法改正を受け、社会保険の適用拡大が徐々に各企業
へ適用されています。改正前当初は、従業員数が500 人を超える大規模企業のみに適用されていまし
た。その後、社会保険の適用範囲は徐々に拡大され、2024 年10 月以降は51 名以上の企業も対象に
含まれることになります。今回は、改正の概要とポイントを解説します。
1.対象となる企業や社会保険加入が求められる従業員の要件
2024 年10 月以降に適用が拡大される社会保険の対象となる企業は、51 名以上の該当従業員を有する企業です。今回の改正により、多くの中小企業が対象となることが予想されます。
① 1 週間あたりの所定労働時間が20 時間以上
労働契約では週20 時間未満であっても、2 ヶ月続けて労働時間が週に週20 時間を超え、今後も同様の労働時間になる見込みがある場合は適用の対象になります。
② 1 ヶ月あたりの賃金が88,000 円以上
通勤手当や残業代、賞与を別にした給料が88,000 円以上の者が該当します。
③ 2 ヶ月を超える期間にわたって雇用される見込み
2 ヶ月以内の雇用契約であっても、契約更新の可能性がある旨が就業規則や個別の契約書に記載されているケースも該当します。
④ 学生ではない
学生であっても、近々卒業の見込みがあり、卒業後に働き続けることが決まっている場合は適用の対象になります。
2.社会保険適用拡大の準備を始める際のポイント
① 特定適用事業所に該当するか
特定適用事業所とは、同一法人内での社会保険加入者総数が常時100 人を超える企業のことです。特定適用事業所に該当すると、今まで対象外であったパート・アルバイトといった短時間労働者の社会保険加入が義務化されます。尚、同一法人には、その法人内の支店や営業所、工場などすべてを含めます。
② 特定事業者に該当する場合
①によりと自社が特定適用事業所に該当することが分かった場合、上記1.「対象となる企業や社会保険加入が求められる従業員の要件」の①~④に該当するパート・アルバイトがどの程度いるのかを把握します。
③ 社内通知・個別面談
②により社会保険の適用が必要となるパート・アルバイトの人数が把握できたところで、社内通知や説明会、個別面談などを実施して、社会保険への加入が必要であることや社会保険の概要、加入後に変化する点について説明を行います。
パート・アルバイトの中には「扶養の範囲内」という条件で働くことを望む従業員がいるケースがありますので、細心の注意が必要です。
今回の改正は、社会保険の適用拡大という大きな時代の流れです。また、昨今では複数の会社で働くパート・アルバイトは少なくありません。副業を行う従業員が自社の社会保険加入対象となった場合は、必ずその従業員が勤める別会社の就労状況や加入情報を確認しなければなりません。仮に、複数の会社で社会保険の適用になった場合は、それぞれの会社で社会保険に加入する必要がある点についても把握しておきましょう。 |