健康診断の実施義務
2024/09/01
従業員の健康診断は、労働安全衛生法によって定められた企業の義務です。健康診断にはさまざまな種類があり、どの検査項目を実施すればよいか悩む担当者は少なくありません。健康診断にはいくつかの種類とそれぞれに決められた検査項目があり、仕事の内容によって必須となる項目が異なります。
1.健康診断の対象となる従業員
■企業には、正社員・契約社員・パートなど、様々な雇用形態の方がいます。通常の健康診断(一般健康診断)の場合、健康診断の種類によって対象となる労働者の範囲は異なります。健康診断の対象となる『常時使用する労働者』とは、以下①~③のいずれかに該当する者をいいます。
① 期間の定めのない契約で働いている者 ② 期間の定めがある場合は契約により1年以上使用が予定される者 ③ 同種の業務に従事する労働者の1週間の所定労働時間数が通常の労働者と比較して4分の3である者 |
2.健康診断の種類
■労働安全衛生法によって義務化されている健康診断には、「一般健康診断」と「特殊健康診断」の2種類があります。
■一般健康診断
一般健康診断は、健康診断が義務化されている従業員全てに対して行う健康診断で、以下のような種類があります。
雇入れ時の健康診断 〇 1年に1回行う定期健康診断 〇 特定業務従事者の健康診断 〇 海外派遣労働者の健康診断 〇 給食従業員の検便 |
■特殊健康診断
特殊健康診断とは、労働安全衛生法で定められた有害業務に従事している方を対象に行う健康診断です。有害業務には、次のものがあります。
〇 高気圧業務 〇 放射線業務 〇 特定化学物質業務 〇 石綿業務 〇 鉛業務 〇 四アルキル鉛業務 〇 有機溶剤業務 〇 粉じん作業 |
上記作業に従事している場合、雇入れ時もしくは有害業務への配置になった際、または6か月毎に健康診断を受けてもらう必要があります。
3.診断結果の保管と報告
■「一般健康診断」を実施した場合には健康診断の結果をもとに健康診断個人票を作成し、5年間保管する義務があります。一方、「特殊健康診断」では保管期間が5年~30年とそれぞれ異なります。また、労働者には結果を通知しなければなりません。
■健康診断後は労働基準監督署に対し、健康診断結果を報告する義務があります。
報告義務の対象となるのは、50人以上の従業員を擁する事業者です。
今回は、比較的、春・秋に実施する機会が多い健康診断について、義務化されている内容や検査項目、注意点を紹介しましたが、健診後の医師の意見欄への記載などへの留意が特に必要となります。従業員の健康状態を把握し、長く勤務してもらえる体制作りもより重要です。 |