改正(予定)育児介護休業法②
2024/11/11
今回は、前回に引き続き育児介護休業法の改正について解説します。今回の主なテーマは、育児休業の支給対象期間延長の要件・手続の変更(以下「本改正」といいます)についてです。
本改正では、これまでは、保育所等の利用を申し込んだものの、当面入所できないことについて、市区町村の発行する入所保留通知書などにより延長の要件を確認していましたが、2025年4月より、これまでの確認に加え、保育所等の利用申し込みが、速やかな職場復帰のために行われたものであると認められることが必要になります。
1.今回の改正の対象者
本改正は2025年4月から実施予定で、子どもが1歳に達する日または1歳6カ月に達する日が2025年4月1日以後となる従業員が、育児休業給付金の延長手続きを行う場合が対象となります。
2.育児休業給付金の延長条件の変更点
2025年4月より、保育所などに入れなかったことを理由に育児休業給付金を延長するには、保育所などの利用申し込みが速やかな職場復帰のために行われたものであると認められることが必要になります。
具体的には、ハローワークにおいて、提出された書類を基に、以下①~③の要件を満たしているかどうかの審査が行われます。
① あらかじめ市区町村に対して保育利用の申し込みがされていること
② 速やかな職場復帰のために保育所などの利用を希望していると公共職業安定所長が認めること
③ 子どもの1歳の誕生日の翌日時点で保育所などの利用ができる見込みがないこと
3.2025年4月から必要となる提出書類
入所保留通知書などのほか、「育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書」と「保育所などに申し込みを行ったときの申込書の写し」でも確認が行われるようになります。
4.育児休業給付金の延長手続きの変更に伴い企業がすべきこと
育児休業給付金の延長手続きをする際の提出書類が増えるため、今まで用意していた書類では足りなくなります。また、保育所などへの利用申し込み時の申込書の写しが必要となるので保管しておく必要が出てきます。
新たに提出することになる書類は「育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書」と「利用申し込み時の申込書の写し」です。前者は厚生労働省のホームページから入手でき、後者は従業員自身が保管しておくことになります。
2025年4月から、育児休業給付金の延長手続きが厳格化されます。保育所などへ入所できなかったことを理由に延長を希望する場合、追加の書類提出が求められ、速やかな職場復帰を目的とした申し込みだとハローワークに確認されなければ、延長は認められません。 企業はこの改正に伴う変更点を把握し、対象となる従業員が適切に手続きを進められるようサポートが必要となります。 |