高年齢者雇用確保措置の経過措置の終了
2025/05/07
平成24 年度までに、労使協定により継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めていた事業主は、経過措置として、老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢以上の年齢の者について継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めることが認められていましたが、その経過措置は2025 年3 月31 日をもって終了しました。
今回は、経過措置終了後の企業の対応を解説します。
1.65 歳までの高年齢者の雇用の原則
高年齢者雇用安定法では、定年年齢を65 歳未満に定めている企業(事業主)に対して、次のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じることを義務づけています。
① 定年制の廃止
② 65 歳までの定年の引き上げ
③ 希望者全員の65 歳までの継続雇用制度の導入
このうち、③の継続雇用制度には、本人が希望すれば定年後も引き続いて雇用する「再雇用制度」や「勤務延長制度」などがあります。
そして継続雇用制度を導入する場合は、希望者全員を対象としなければなりません。
希望者全員とは、定年後も引き続き働きたいと希望するすべての人です。
2.高年齢者雇用の経過措置
上記の希望者全員の継続雇用については経過措置があり、2013 年3 月31 日までに継続雇用制度の対象者を限定する基準を労使協定で設けていた場合には、対象者を限定する基準を適用することができました。
具体的には、老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢以上の人について、継続雇用制度の対象者を限定することができました。
3.経過措置の廃止
対象者を限定できる経過措置は、2025 年3 月31 日をもって終了しました。
そのため、2025 年4 月1 日以降は、高年齢者雇用確保措置として、以下のいずれかの措置を講じる必要があります。
① 定年制の廃止
② 65 歳までの定年の引上げ
③ 希望者全員の65 歳までの継続雇用制度の導入
なお、経過措置の終了によって、2025 年4 月1 日以降、65 歳までの定年の引上げが義務になるわけではありません。求められるのは、あくまで希望者全員の継続雇用です。
特に現在、継続雇用の対象者を限定している企業は、経過措置の終了に伴い就業規則の変更が必要となります。経過措置による基準を就業規則に規定していた場合には、経過措置終了後には「希望者全員を65 歳まで継続雇用する」という旨の規定に変更する必要があります。 2025 年4 月1 日以降は、高年齢雇用継続給付の支給率が最大10%に縮小されたため、シニア層のモチベーションを保つ仕組みづくりが重要です。 |