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税制改正の留意点 PART2 ②「103万の壁」の引き上げはどうなった?

「103万の壁」の引き上げはどうなった?

①「壁」議論とは...

 " 壁" 議論とは、「課税最低限・・・これを超えると税金が出るライン」の議論です。
 税で言えば「本人に税金がかかるライン」と「扶養者...親や夫に税金がかかるライン」の二つがあります。税と社会保障の分野でそれぞれであり、更に企業規模でのラインも加わって、非常に複雑です。
 その中で、「税部分」の最も有名な壁、「103 万円の" 壁"」について、年末の税制改正の議論において、与党と「178 万円」への引き上げを目指す国民民主党との間の折り合いがつきませんでした。そこで、与党の税制改正大綱では、間をとった「123万円」への引き上げとし、それを受けて年明けの予算案審議が続いていました。
 少数与党の国会審議の中、衆議院では通過したものの、参議院で修正され、再度衆議院の同意を得て成立という、現行の憲法下で初の過程を経て決定をしました。 

今回をまとめると次のような流れでした。

「103 万円の壁」議論 →「123 万円への引き上げの税制改正" 案"」
                   →「160 万円への引き上げ決定」

②「壁」の金額とは...

そもそも「壁」の金額は何を指すのでしょうか。
「壁=課税最低限・・・これを超えると税金が出るライン」とは次を言います。

「その人の所得 ー 基礎控除」=0

「所得」とは「収入-経費」です。しかし一般的には「給与所得者」をイメージした話がされます。給与所得者の「所得」は次を言います。

給与所得者の所得=給与収入-給与所得控除(概算経費)

「給与所得者」においても、理論上は、例えばスーツやビジネス鞄・名刺入れ・ビジネス本など様々な「経費」はありますが、業務上か・個人的かの判別や割合が難しいことから、原則的に収入に応じた一定の割合を「概算経費(給与所得控除)」としています。その割合は40%~ 10%で、最低限は55 万円・最高は195 万円です。

 次に「基礎控除」ですが、理論上は「最低生活費控除」です。しかし、実際は様々な控除との複合となっていて一概には言えず、現実は「所得税の計算の一番基礎の控除の意味合いで、48 万円を基本として、所得に応じて段階的に控除額が下がっていくしくみです。

改正前では、103 万円が課税最低限、つまり税金のかからない金額でした。

103 万円 ー55 万円(給与所得控除)ー48 万円(基礎控除)= 0
                   →所得がゼロで課税なし

③今年変わる「壁」の金額

 「103 万円の壁」が、年末の税制改正大綱で「123 万円への引き上げ」と政府案ではなされましたが、紆余曲折の結果、今年は次のように「160 万円への引き上げ」となりました。

160 万円 ー65 万円(給与所得控除の増額)ー95 万円(基礎控除の増額)= 0

そして、160 万円を超えた場合にも、所得に応じての基礎控除を「増額」する形で、当初案より2 万円程度の所得税の減税がなされます。
 ただし、注意点としては、「当初案」よりも2 万円程度の減税とはなりますが、そもそも昨年限りの「定額減税」は終了しているため、対昨年比から見ると税金は増える場合が多い(元に戻る)と言えます。
 基礎控除は今年から次ページ表のように、非常に複雑になります。
 特に、令和7 年及び8 年に限っての「2 年間の時限措置」とされた金額は、令和9年には58 万円に戻ることになっていて、今後の方向性が注目されます。

所得金額(給与の場合の年収) 基礎控除 適用期間
132 万円(給与200 万円)以下 95 万円 恒久措置
336 万円(給与475 万円)以下 88 万円 2 年間の時限措置
489 万円(給与665 万円)以下 68 万円 2 年間の時限措置
655 万円(給与850 万円)以下 63 万円 2 年間の時限措置
2350 万円(給与2545 万円)以下 58 万円
2400 万円(給与2595 万円)以下 48 万円
2450 万円(給与2645 万円)以下 32 万円
2500 万円(給与2695 万円)以下 16万円
2500 万円(給与2695 万円)超 0

※ 基礎控除の減税措置は、給与所得者については「年末調整」にて適用されるため、
  月々の源泉徴収段階では旧来のままである。

 上述のとおり、「即時償却」について、今回の改正にて設備要件の厳しくなることに加え、改正前後(令和7 年3 月と4 月)において、「工業会・経産局への申請」と「経営力向上計画の申請」の申請年度(令和7 年4 月以後か、3 月以前か)を合わせる必要があり、非常に注意が必要です。
 また、柔軟ルールの廃止もあります。
 4 月前後において手続きを行っている方、前倒しで手続きを行っている方などは、各申請期日の再確認をお願いします。

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