自社の「決算書」は"ここ"を見る!(Part2)ー①
2025/10/01
「売上も利益も増えているのに、お金がないのはなぜだろう...」との質問を頂くことがあります。
「お金がないのに、利益が出ていて納税???」の疑問もよく聞かれるところです。
売上代金の受け取りも、仕入れや経費の支払いもすべて「現金・預金」で取引されていて、資産も在庫も何もない会社であれば、「利益= 現金」ですが、そのような会社はまずありません。
「決算書の利益や赤字」と「現金預金( キャッシュ) の増加・減少」の「違い」を示す書類は、「キャッシュフロー計算書」と言われ、決算書のひとつです。
資金は言うまでもなく、会社の「命綱」であり、会社を巡る「血液」です。
今月のかわら版は、「決算を経営に活かすポイント...キャッシュフロー計算書」について取り上げていきます。
①「利益」と「キャッシュ」は、どこが何故違うのだろう...
結論からすると、「決算書の利益や赤字」と「現金預金( キャッシュ) の増加・減少」の差の原因は、大きく次の2つです。
< ズレの原因1・・・いわゆる期ズレ>
「決算書」において、売上や仕入れ・経費を計上する「基準」は、キャッシュの入りや出のベースではなく「納品ベース」で計上するルールです。
したがって、売掛金・買掛金・未払金などが示す「売上や仕入・経費の計上時期」と実際の「受取り・支払い」の時期の「いわゆる期ズレ」が原因のひとつです。
< ズレの原因2・・・資産の購入、支払以上の借入れ>
もし利益がキャッシュで残っても、土地や機械・在庫など「資産」を買ったら...
「利益は出たが、資産で残っていてキャッシュがない!!」となります。
逆に赤字であっても、支払い以上に借入金を多く増やせば...
「赤字でも、キャッシュは増えた??」ともなります。
このように「資産に変わる」「借入で多く補う」が原因ともなります。
上記のうちの「いわゆる期ズレ」ですが、次の3 つのケースをご覧ください。
| <売上> |
<仕入れ> |
<決算利益> | |||
| ケース① | 10億円(現金) | ー | 9億円(現金) | = | 1億円 |
| ケース② | 10億円(現金) | ー | 9億円(手形) | = | 1億円 |
| ケース③ | 10億円(売掛) | ー | 9億円(現金) | = | 1億円 |
3つのケースは、どれも売上10億円で仕入が9億円で、計上する決算利益も同じ1億円です。ところが、キャッシュはどうでしょうか?
ケース①では、現金で仕入れ、現金で売ったので、現金が1億円増えていて、キャッシュは「1億円のプラス」であり、「利益増= キャッシュ増」です。
ケース②では、手形払いで仕入れ、現金で売ったので、決算日で手形の決済がまだであれば、キャッシュは「10億円のプラス」となります。
ケース③では、現金で仕入れ、掛で売ったため、代金がまだ決算日に回収されていなければ、「キャッシュは9億円のマイナス」となります。
明日の記事では、「キャッシュフロー計算書の簡単な仕組み」をアップします。
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