労務かわら版

最低賃金の引き上げとパートタイマー雇用

2021/10/08

　前月号ではパートタイマーの社会保険の適用拡大についてポイント解説しましたが、今回は、特にパートタイマー・アルバイト等の時給者に直結する最低賃金の引上げについて取り上げます。

1. 最低賃金の種類
   　最低賃金には、都道府県ごとに定められた「地域別最低賃金」と、特定の産業に従事する労働者を対象に定められた「特定（産業別）最低賃金」の２種類があります。
   このうち「地域別最低賃金」は、毎年10 月頃に改定されることになっています。
2. 2021年度の地域別最低賃金
   　2021 年度の地域別最低賃金と発効日は、下表のとおりです。（関東地方）
   

   都道府県名	最低賃金時間額		引き上げ後	発行月日
   	改訂前	改訂後
   茨城	851円	879円	28円	2021年10月1日
   栃木	854円	882円	28円	2021年10月1日
   群馬	837円	865円	28円	2021年10月1日
   埼玉	928円	956円	28円	2021年10月1日
   千葉	925円	953円	28円	2021年10月1日
   東京	1,013円	1,041円	28円	2021年10月1日

   　2021 年度は、すべての都道府県で28 円以上の引上げとなっています。なお、全国加重平均は902 円から930 円へ3.1％引上げとなりました。
   　パート・アルバイト等の時給者の賃金が最低賃金を下回っていないかを確認するとともに、月給者についても1 時間あたりの賃金額を算出し、確認するようにしましょう。

3. パートタイマーについて
   パートタイマーのうち、いわゆる「扶養の範囲内」で働く人の場合、最低賃金の引上げにより働くことができる時間が少なくなることがあります。また、同一労働同一賃金の適用により、時給を引き上げる必要がある場合もあります。さらには、2024 年10 月より、社会保険の加入基準である従業員数要件が51 人以上（詳細は前月号記載）に引き下げられます。

※　このように、パートタイマーの雇用にかかる企業の負担は増加傾向にあります。
　　また、来年（令和4 年）には、育児休業に関する改正も予定されています。
　　企業にとって「人材の確保」は生命線です。コロナ禍からアフターコロナに向けて、「高齢者雇用」や「離職を防ぐ」ことは重要課題と言えます。