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M&Aで会社を譲る。会社を引き受ける③

❷ A建設会社の事例...「早くからの意思疎通が望まれた」

 A建設会社は、二代続くその地域では名の通った建設会社です。技術力・営業力は非常に高く、一般住宅・工場・物流倉庫・店舗から病医院まで、幅広い建設において定評です。
 経営面は、原材料の高騰や人手不足の問題に直面はしておりましたが、A社長曰く「お客様に恵まれたこと」と「業歴を強みとして、資材や人材の確保に様々なルートが活かせた」ことで、昨年はこの10 年での最高益を計上しておりました。
 しかし昨年の春に行われた健康診断で社長の病気が発覚。早期だったため、大事には至りませんでしたが、今後の事を考え、当社へご相談をいただきました。
 社長の長男はITエンジニアとして活躍され、東京で就職し、妻子もいます。次男は地元で結婚・就職をしましたが、畑違いの会社です。
 突然、降って湧いたような話です。長男にも次男にも、会社の後継のことは一度も話をしたことはなく、今までは社長も漠然と「どちらかが三代目として継いでくれればいいな...」と思っていた程度でした。
「創業30 年超の老舗企業の事業承継に関する意識調査」(㈱日本M&Aセンター調べ)に、「子どもの" 継ぐ意志" を確認していますか」との問いに対する回答が公表されています。

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 この調査では、親族承継において後継者(ないし後継者候補)へしっかりと意思確認できているのは32%と3 分の1 程度であることが明らかとなりました。経営者は「自分の子どもは、ある程度会社のことは分かっているだろう...」と思いがちですが、意外と理解されていないのが実情です。
 今回のA建設のケースでも、子どもたちからすれば、「父親は何も言わないから、継がなくてもよいのだろう。会社の幹部が継ぐのだろう...」、と思っていたそうです。
自分から父親に" 尋ねる" という場面はありませんでした。
 また兄弟間でも、弟からすれば「順番では兄がいるし...」、兄からすれば「自分は東京だから、地元には弟がいるし...」などの思いになることも、不自然ではありません。
 加えて、会社の「事業そのもの」、何を建てている建設会社なのか、売上など会社規模は...、どんなお客様がいるのか...などは、子どもたちには分かりようもありません。

 社長からすれば、長男・次男とも、学生の頃、夏休みにはアルバイトで働いたこともあるので、分かってくれているだろう、との考えもあったとのことでした。
 自分の病気、会社の事業の現状、既存顧客や地域との関係性、また共に働いてくれた社員に対する想いなど、数度にわたり話し合いを持ちました。しかし、「急に建設業へ...」という戸惑いや、事業に対する責任、現在の仕事・家族のことなど様々なことを考慮した結果、子ども達への親族承継は断念をせざるを得ない、との判断となりました。

 日本商工会議所「事業承継に関するアンケート」(2024.4)において、事業承継を考え始めてから完了までの「時間」についての回答が出ています。
まず、「事業承継を考えてから、後継者の決定・承諾までの時間」です。

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 事業承継を意識してから「後継者を決定、承諾までの時間」は、全体の3 分の2 の方が1 年以上は要し、4 割を超える方が3 年以上かかっていることが見て取れます。
次の記事では、「後継者の決定から、代表者の交代や自社株式の引継ぎ」までどれぐらいの時間が掛かったかも公表されていますので見てみましょう。

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